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銀鮒の里教育概論

VR/ARゲームに関する注意喚起

銀鮒の里学校では、商業主義ベースの粗悪な依存的娯楽から子どもたちの情緒や健全な教育環境をまもる観点から、商業的VR/ARゲームは子どもたちに絶対に与えない・させないことを強くお願いしています。

VR/ARゲームとは

VRとは、仮想現実(Virtual Reality)のことであり、VRゲームとは、仮想現実を利用したゲームのことを指します。ARとは、拡張現実(Argumented Reality)のことであり、VRの一種と定義されています。ARは現実の像にコンピュータが付加した情報を重ねあわせることを指します。その付加情報は、現実世界についての解説文のように、現実世界の理解を促す場合もあれば、虚像(架空のキャラクターなど)を重ねあわせて、現実の世界とは関係のない虚飾世界(≠現実世界)をでっち上げる場合もあります。ここでいうARゲームとは、その後者を応用したゲームのことです。

VRゲームもARゲームも、いずれもコンピュータを使って実行されます。VRゲームは、現実世界に関する情報が必要ではないため、パソコンのような固定端末でもスマートフォンやタブレットのような移動(モバイル)端末でも実行されますが、ARゲームは屋外の現実世界の情報と重ねあわせますので、移動端末で実行されます。

「ポケモンGO」について

ポケモンGOは、2016年7月23日に日本国内で配信が開始された、任天堂の関連会社である米国ナイアンティック社のスマートフォン/タブレット(Android・iOS)向けARゲームです。現実世界の情報である地図データとGPSデータを利用し、キャラクター(ポケモン)情報が埋め込まれた地図座標(ポケスポット)上に実際に行くと、スマートフォンなどの画面上に、そのキャラクターが出現するというものです。

現実ゲームとの違いについて

現実ゲームとは、現実世界の中で行うゲームのこと全般を指し、狭義には昭和の頃から親しまれていたボードゲームなど、単に「ゲーム」といわれてきたもののことを指し、広義には、フルーツバスケットのようなレクリエーションで行うゲームやスポーツ競技、ゲーム性をもった遊びや学び全般を指します。

このような現実ゲームは、学校の正課教育でも行われることがあるように、人間(自己や他人)、現実に向き合って行う健全な活動です。ある程度真剣に行うと、心地よく疲れるので、けじめをつけやすい特徴があります。それに対して、VR/ARゲームは、仮想世界のなかで、虚像と向き合って遊ぶ活動ですので、現実世界との隔離もしくは不分別化、やめた後の空虚感(禁断症状)が起こります。

「ポケモンGO」にみる、VR/ARゲームの教育問題としての本質

ポケモンGOをはじめとするVR/ARゲームの教育問題としての本質は以下のように整理されます。

1
現実認識の欠如

現実世界には、ありとあらゆる自然の動植物や科学的好奇心をそそられる自然現象があります。それらの美しさを五感で感じ、よろこびを見出すことが、本来のこどもあそびのあり方です。

しかし、VR/ARゲームは、画面上にでっち上げられた虚像の世界に没入して遊ぶ現実逃避であり、現実世界の美しさを感じる機会を奪います。例えば、自然の生き物の名前やその生態を知ることは、生きる力につながりますが、VR/ARゲームのキャラクターを知ったところで、何ら役立ちません。

2
商業主義に巻き込まれることによる倫理的問題

ポケモンGOなどの営利企業が営利目的で公開するVR/ARゲームには、営利企業の商業主義的陰謀が潜んでいます。商業的VR/ARゲームの最初の狙いは、「プレイヤーに能動的に考えさせず、のめりこませる」ことです。とくに疑いを持たずに、ひと度ゲームをはじめると、抜け出せなくなるようにつくられているのです。ポケモンGOのように、そのものは無料であったとしても、それに付随するものを買わせるように仕組まれています。すなわち、楽しみつづけるためには、考えるまでもなく、カネを払い、買うことに依存させられる泥沼にはまることになります。

3
異常行動(暴力行為等の模倣・禁断症状)

日本国内での公開前から、ポケモンGOは、立入禁止場所への侵入や交通違反、夜間徘徊などの違法行為や問題行動が海外で指摘されていました。そのような教訓は日本国内でもいかされることなく再現され、数多くの事例が報告されています。自動車運転中のポケモンGOへののめり込みが原因で、歩行者をはねて死亡させる事故も起きました。

これまでも、現実に背くVR/ARゲームは、その現実離れした暴力的シーンや(敵キャラクターなどの)殺害シーン、過激な描写への反復曝露により、いじめや暴力行為・破壊行為などの社会的問題行動の原因になることが懸念されています。

このように、大人でも依存に陥れ、理性を奪わせるようなVR/ARゲームが、子どもの情緒に与える悪影響は計り知れません。

VR/ARについての、銀鮒の里学校の考え方(道徳・倫理観)

例えばVRは自動車運転のシミュレーターやプラネタリウム、ARは自治体広報・観光などの情報の拡張的付加による現実世界の理解促進など、有意義に使われている事例も多く、使い方次第では、教育のアクティブラーニングにも応用できる概念です。

しかしながら、低俗な文化への接触を目的としたVR/ARの利用は、前に示したような、これまでにはなかったような新たな教育問題を惹起する原因にもなりかねず、現実逃避による理科離れや科学リテラシーの欠如もいまや危機的状況になっています。

商業的VR/ARゲームは、自然の中で能動的に遊ぶ本来の子どもの姿を奪い去らしめています。このような商業的VR/ARゲームは、子どもには絶対にさせないのはもちろんのこと、子どもの誘惑を断つためにも、周囲の大人もしない、させない配慮が必要であると、銀鮒の里学校では考えています。

VR/ARゲーム問題についての、銀鮒の里学校の取り組み

VR/ARゲーム肯定行為に対する厳重抗議・規制強化要請

銀鮒の里学校では、開発・配信元である任天堂とポケモンGO臨時ダイヤルに厳重抗議を行ったほか、ポケモンGOに関して肯定的施策の実施を発表した自治体(鳥取県・北九州市・宮城県(※検討中))や、ポケモンGOを推奨するような広告を流した企業(ヨドバシカメラ)等に対して、厳重抗議を行いました。また、豊中市や能勢町教育委員会にも、公共の場所でのARゲームを規制したり、VR/ARゲームを子どもたちにさせないように、要請や注意喚起をおこなっています。

     
昔あそびやハーモニカ・リトミック、科学ショーなどによる子どもたちの「こころの居場所」づくり

銀鮒の里学校では、イベント時や遊びのボランティアなどの際に、子どもたちが自ら考えて遊ぶ昔あそびやハーモニカ・リトミック、科学ショーなどを活動に盛り込むことで、少しでも多く、子どもたちの「こころの居場所」ができるように努めています。