昭和のくらしESD
概要
一言でイメージするなら、「今のおじいちゃん、おばあちゃんが子どものころ(50年以上前)にあそんだり親しんできたことと、その流れを受け継ぐ創造的な新しいこと」です。 健全なあそびや活動は、時代に関係なく、子どもたちを輝かせるものです。
「昭和のくらしESD(日本型ESD)」は、そのような昭和初〜中期(もしくはそれ以前)の頃の、木造校舎の学校で行われてきた、人の対話距離が近い「ふれあい・ぬくもり」いっぱいの「日本のよき時代の教育」を基盤としています。同時期に親しまれていたあそびや活動を精選し、それらに、現代ならではの創造的な活動や、海外の教育先進地域で実績をあげている、取り入れるべき考え方(イエナプラン教育、フィンランド方式教育など)をバランスよく織り交ぜることで、日本の風土や世界情勢に合うかたちに編成したESDプログラムです。昭和のくらしESDは、主体的に考え知恵を活かして、成し遂げていくことを通じて自己肯定感や他者肯定感、表現・創造力、論理的思考力、市民的協調性(利他性・思いやり・つながる力)、物事を深く捉える能力(認識力・洞察力)などの生きる力を育みます。
脱商業主義の市民的価値観変容を
一見して子どもたちが大好きそうなVRゲームやアニメ映画ですが、これらは、子どもたちのこころを束縛・統制し、自主自立・創造的な活動の機会を奪う商業主義的洗脳の序章です。このまま放置すれば、商業主義に起因する市民社会問題に気づくことなく、大人になることになり、現在の大人の世代にも、その影響がはっきりとあらわれています。
商業主義的勢力の介入などを理由として、商業主義問題に着手しないESDでは、商業主義的圧力のもとで揺らいでしまう脆弱なものになりかねず、まさに「糠に釘」といえます。社会を持続可能な発展を遂げる方向に変えていけるだけの市民的価値観の盤石な礎を築きあげることは、強いESDを実践するうえできわめて重要です。
昭和のくらしESDは、子どもの自立性・主体性・創造性などを引き出し、ものごとに自主自立的に取り組むこころを育てます。また、日本の四季の美しさに五感で寄り添う自己創発的な活動を通じて、日本人が普遍的に持つ和のこころを発展的に呼び覚まし、日本人としての高い道徳観を育てます。
昭和のくらしESDを構成する6つの基幹概念
昭和のくらしESDは、教育の柱となる6つの基幹概念があります。
それら6つの機関概念は、4つの方針要素と2つの内容要素からなり、方針要素と内容要素とは相互連関(つながり)の関係にあります。さらにプログラムによっては、内容要素間のつながりもあります。
4つの方針要素
2つの内容要素
昭和のくらしESDのプログラムの例
プログラム名 | 内容 | 育てる力(主要なもの) |
ハーモニカ・リトミック | 手軽にふけるハーモニカで日本の季節の唱歌などを演奏します。 | 自己肯定感を高める効果がとくに大きいです。音感と他の感覚とが連携した情操効果も期待できます。 |
ESDアート | 昭和の頃に親しまれてきた、さまざまな和の手道具などを使いこなして、肯定的コンセプトの創作を行います。 | よい道具を使うことのよろこびや、思いをこめて、こころに響くなにかをつくりあげることのよろこびを実感できます。 |
においリテラシー教育 | 自然のにおいや人のにおいについて、受け入れ親しむべきにおいとはなにかを理解します。 | 支配的商業主義の影響で撹乱された嗅覚的価値感覚を正常にとりもどすとともに、自然や人(自己および他者)の肯定的理解を図ります。 |
ひとっていいね(スキンシップ) | 手あそび、かたぐるま、二人三脚、おしくらまんじゅうなど、他の人と肌を接し、ぬくもりが通いあうあそびを楽しみます。 | 自己・他者肯定感や市民的協調性を高めるのに効果的です。触覚を通じて、みんなでなにかをやるよろこびを心身で実感できます。 |
石けん教育 | 石けんの化学的性質が視覚的に理解できる実験と手洗い体験を通じて、くらしに化学を活かすことについて学びます。 | くらしですぐに役立つ論理的思考力や洞察力を育てます。一市民として調和的に生きることの意義もわかります。 |
木育・素材教育 | 無垢の木や金属などの感触や質感に日常的に親しみ、自然の温かみや質感・感触のコントラスト、機能性に親しみます。 | よいものを選び、ものを大切にする気持ちが定着します。よいもの(素材)を知ることによる充実感(豊かな気持ち)も得られます。 |
子どもバケツトイレ | 細菌学的最新知見ももとにして開発した、水道を必要としない子ども専用の自己発酵型トイレです。 | 人のうんちがみえるトイレを通じて、正しい衛生観と同時に、自己や他者を前向きに捉え受け入れる肯定的な気持ちを育てます。 |
ぎんぶな式2桁かけ算 | 四角形の面積はかけ算そのものであることを教えることにより、数理イメージを構築する算数・数学学習法です。 | 算数・数学の合理的・論理的理解ができ、洞察力も育ちます。 |