商業主義問題と市民感覚
岩手県紫波町立上平沢小学校における正のケーススタディ
2004年(平成16年)、銀鮒の里学校発起人は、学校木質化の先進事例として当時有名であった、岩手県紫波町立上平沢小学校を視察しました。紫波町は、岩手県の中央部、盛岡市と花巻市との中間に位置する、北上川の河岸盆地に開けた田園風景が美しい、自然豊かなまちです。そんな紫波町に、町民ぐるみで新築された木造校舎である上平沢小学校はあります。
上平沢小学校は、からまつなどの地元産無垢材がふんだんに使われ、木組みの伝統工法を駆使して建てられています。廊下も地元産無垢材の床で、厳しい冬でも寒くなく床暖房のような温かさを感じるほどだそうです。玄関入ってすぐの木のぬくもりたっぷりのホールは、地域住民にも親しまれているそうです。教室の机やいすも地元産無垢材でできてぬくもりたっぷりです。紫波町の冷涼な気候と無垢の木材の特性から、夏も涼しく快適です。厳しい冬は、製材の際に発生する製材副産物でつくられる木質ペレット燃料のペレットストーブで暖房するそうです。木質燃料ですので、森林が一旦二酸化炭素を固定していることから、木質燃料使用に伴う二酸化炭素の発生量が相殺されるカーボンニュートラルとみなされます。
本来、環境教育などのESDは、自然な環境で行われるべきものであり、人工的環境の象徴ともいえる今日の主流である鉄筋コンクリート造の校舎の非木質化環境では、ESDの効果は大きく低下することが見込まれます。この上平沢小学校の場合は、考えられる箇所のほぼ全てで徹底した木質化が行われているため、とくに肩肘張らなくとも自然にESDに取り組める雰囲気があります。子どもも大人も、率直に「居続けて気持ちいい」と感じ、「やさしい気持ちになれ、日本人本来の人間性を取り戻せる」雰囲気こそが、木質化で得られる最大の効果であり、ESD推進の基盤になるといえる、欠かせない取り組みといえます。
岩手県紫波町立上平沢小学校のホームページは、下記リンクよりご覧いただけます。(別ウインドウで開きます。)
岩手県紫波町立上平沢小学校ホームページ