特色あるカリキュラム
銀鮒の里学校では、教育方針や教育で大切にしていることを具現化するため、公立学校などでは実践されていない、特色あるカリキュラムデザインを行っています。
統合型教科の80分授業
公立学校の45〜50分授業では、熟考したり集中して取り組むには明らかに時間不足であり、論理的思考力やねばり強く取り組む態度が育たないなどの問題があります。また、細分化された教科では、物事のつながりを見出し、つながりを意識して考えるうえで支障が生じかねません。
そこで、銀鮒の里学校では、学校教育のあり方について、一から考え直し、統合型教科の80分授業を行うことに決めました。人間の連続的集中の限度は90分とされていること、授業の対象がこどもであること、現代のESDにフル対応した、一貫した熟考ができる授業内容にするには、従来の公立学校の授業の2倍近い時間をとる必要があることを勘案した結果、80分授業制としました。
また、統合型教科は、全体論的(ホリスティック)な考え方ができるよう、文科系分野を国語文化、理数系分野を理数としたうえで、これら2教科について、知識や考え方の修得、楽器演奏などを用いた表現を目的とした授業を一般、成果物を作り上げる実習授業を創作とします。これらに加えて、身体を動かしたり、健康な生活習慣について学ぶ保健体育を授業科目とします。
こどもの「ばばっち」で心身の小さな異変も見逃さない
銀鮒の里学校は、こどもたちの健康管理やストレス管理、モチベーション管理にも独自のノウハウがあります。
つば、うんちなどは、きたないものだと思われがちですが、実は、こどもの心身の状態のバイオマーカーになりうることが、医学的にもわかっています。例えば、ストレスの蓄積は、つばのコルチゾール濃度の上昇や分泌量の低下として現れたり、食生活の乱れや運動不足は、硬いうんちの便秘や軟便、悪臭のうんちなどとして現れたりします。つまり、こどものつばやうんちの観察を日常の習慣とすることで、こどもの心身の小さな異変も見逃さず、常に心身ともに健康な状態を保つのに役立つということになります。
もともとこどもはうんちやつばを出すことが大好きであり、気持ちよいことだということを知っています。こどもたちの元気なつばやうんちを肯定的に受けとめ、その好きな気持ちを引き出してあげることによって、こどもたちは、毎日うんちやつばをしっかり出せることをお互いに自慢し、健康を維持することができるのです。
うんち出しは毎朝、つば出しは給食の後を基本にしますが、こどもの身体にあわせるので、いつでもできる態勢にします。(教科の関連では、授業外随時実施の保健体育となります。)
現代の寺子屋のかたち「読み・書き・そろばん・Linux」
昔ながらの寺子屋のまなびといえば、「読み・書き・そろばん」でした。銀鮒の里学校では、これからの時代の社会起業家に求められる市民感覚と基本能力を育てるため、これら基本的なまなびにLinux(オープンソース情報教育)を加えることにより、ESD(持続可能な発展のための教育)の真骨頂を実感できるカリキュラムを実践します。
文章を読み考え新しい知を創造する力を養う「読み」
銀鮒の里学校の目指す「読み」は、漢字や英語を読める能力を育てたり、本を読むことにとどまりません。自らインターネットや書籍資料などの文章を取捨選択し、それらをできるだけ多く読み、それらを組み合わせて深く論理的に考察することで、新しい知(連携知)を創造する能力を育てます。また、見かけのイメージなどにとらわれることなく、批判的思考をすることで、物事の本質を主体的に見極める能力を育て、近年巧妙化している消費者問題等にも、国際的な視野を持ち、力強く立ち向かうことのできる生きる力を育てます。これらの能力は、今日の教育のキーワードとなっているリテラシーを構成する基本能力です。
考えていることを表現する能力を養う「書き」
生きる力を構成する「書き」の能力は、「読み」などの成果を「見える化」して、客観的に訴求するコミュニケーション能力です。「書き」の能力は、手書きだけではありません。今日では、ワードプロセッサー活用能力やプレゼンテーション能力、ウェブサイト構築能力といった、コンピュータを活用して表現する能力も、重要な「書き」の能力となっています。銀鮒の里学校では、手書きで表現する能力はもちろんのこと、コンピュータを活用した「書き」の能力の養成にも力を入れます。そのような教育で用いるコンピュータは、後述するLinuxコンピュータになります。
理数の授業で日常的に活用する「そろばん」
今日において、そろばんと聞くと、「習い事でそろばん教室に通う児童だけのため」「小学校4年の算数の授業で数回しか使わない」など、電卓やパソコンがあたりまえになった時代では暮らしから縁遠くなったと思われがちです。しかし、そろばんには、十進法の数値演算の本質的な考え方が身につき、集中して正確に取り組む能力が育つといった教育効果があることが、近年見直されてきています。そこで銀鮒の里学校では、これらの教育効果を最大化できるよう、理数の授業で日常的にそろばんを活用します。さらに木製のそろばんには、アナログの生活道具を使いこなす知恵を育む道具教育の効果や、手指を通じて木のぬくもりを感じる教育(木育)効果もあります。
コンピュータ活用の真髄に触れる「Linux」
公立学校を対象にした文部科学省の「GIGAスクール構想」では、学校での情報教育で使うパソコンやタブレットのOSがWindowsやiOSといったクローズドソースや商業的なOSしか想定されておらず、情報教育としての教育効果に大いに疑問があります。情報教育で目指すこと、それは、コンピュータの活用スキルの習得だけではありません。銀鮒の里学校では、主体的にコンピュータのハードウェアやソフトウェアのしくみを解析し、思いどおりに活用する能力(ハック力)の育成や、民主的技術(シビックテック)の精神の確立も非常に重要なことであると考えており、そのことを最も効果的に実現するために、OSにはUbuntuなどのLinuxを採用することにしています。(意外と知られていませんが、Linuxディストリビューションは教育用のOSとして最も優れています。)さらに、プログラミング教育で用いるシングルボードコンピュータも、オープンソースのArduinoやRaspberry Piを活用し、LED点滅(通称Lチカ)からラジコンカー、IoT家電、ロボットに至るまで、創造で夢を築きあげるカリキュラムを予定しています。
将来性のある資格取得も応援
銀鮒の里学校のカリキュラムは、国家資格等の取得にも役立つカリキュラムとなっていますので、とくにやる気のある児童・生徒では、年齢制限等がないものであれば、在学期間中にも資格取得を目指すことができます。例えば、電気工事士試験で最も難しい内容のひとつといわれる三相交流は、遅くとも中学部までに学ぶことができる予定ですので、在学中に電気工事士の資格を取得※できるかもしれません。電気工事士の資格があれば、これから普及が確実といわれる再生可能エネルギーの発電・配電設備や農業電化等の工事もできますので、農村社会起業にも有利になることでしょう。
※国家資格等の資格取得には、各個人の不断の努力が必要です。資格取得に関するサポートは行いますが、資格取得を保証するものではありません。