銀鮒の里学校とSDGs
ネオニコチノイド系殺虫剤の普及により、ミツバチやトンボ類などの昆虫の生息環境が脅かされ、個体数が激減するなど、有害化学物質が生物多様性に及ぼす負の影響が深刻な問題となっています。また、合成洗剤成分などとして多量に使用・排出されている合成界面活性剤は、それ自体が強い毒性を持つだけではなく、他の有害物質の生体内取り込みを促すことで、有害物質の有害作用を強めることも指摘されています。
環境市民運動を原点とする銀鮒の里学校では、現状の公教育における理科・化学や家庭科などのカリキュラムでは、教育水準の低さやくらしとのつながりの少なさゆえに、リスクコミュニケーションを市民文化として推進できないという教育問題を深刻に受けとめています。そこで、小学生の頃から、より高い水準の、より日常生活に根ざした化学教育を推進するという教育市民運動の考え方を提唱し、リスクコミュニケーション文化の普及推進に資する市民の育成をめざしていきます。
遺伝子をまもることは、くらしをまもること
いま、主要農作物の遺伝子が、特定のアグリビジネス勢力に支配されようとしており、これまでの歴史にはない危機に瀕しています。とくに、遺伝子組み換え技術で開発された品種が、ひとたび田畑で栽培されるようになると、取り返しのつかない遺伝子汚染が起こることも懸念されています。また、遺伝子組み換え作物を摂取した場合の未知のリスク(発がん・アレルギー疾患発症など)も問題視されています。
これまでは、遺伝子操作を商業利用することには、厳しい法的制限があり、在来種の遺伝子は手厚く保護されていましたが、最近になって、その制限が撤廃されようとしています。銀鮒の里学校では、食卓へ直結する農業への商業主義の介入の問題について教材化し、在来遺伝子資源の保護の重要性についての理解を図ります。